往来再開に向け段階的にステップを進める日本政府は、タイ、ベトナムと双方向の往来を再開させる「レジデンストラック」を始める。バカンスシーズンに間に合わせるように国境を開いたヨーロッパの国々では、欧州連合(EU)が域外からの渡航を受け入れる国のリストに、日本、韓国、タイ、オーストラリアなど15カ国を選んだことを受け、日本からの入国を認める欧州の国が相次いでいる。今回はそれらをまとめて紹介する。
20.7.29現在 出典:やまとごごろ.jp
往来再開に向けた2つのスキーム「ビジネストラック」「レジデンストラック」
日本国政府は、新型コロナウイルスの感染拡大抑制のため現在、146の国と地域からの入国を拒否。それ以外のすべての国と地域からの入国者に対しても、日本へ入国後14日間の行動制限を求める水際措置を行っている。この一般的な往来とは別に、ビジネス上必要とされる人材の出入国について例外的な枠を設置することで、往来を再開させることを発表している。
現在、協議・調整を進めているのは、ベトナム、タイ、オーストラリア、ニュージーランド、カンボジア、シンガポール、韓国、中国、香港、マカオ、ブルネイ、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、ラオス、台湾の16の国と地域。
この内、タイ、ベトナムとの間に、入国後14日間の自宅等待機は維持しつつ、双方向の往来を再開する「レジデンストラック」を7月中にも開始する予定であることを外務省が明らかにしている。
日本では、往来再開に向けた段階的なステップとして、「ビジネストラック」「レジデンストラック」の2種類のスキームが検討されている。
ビジネストラック:「活動計画書」の提出やPCR検査等の条件の下、相手国、および日本への入国後、14日間の自宅等待機期間中も、行動範囲を限定した形でビジネス活動が可能となるスキーム。主に短期出張者用。
レジデンストラック:例外的に相手国又は本邦への入国が認められるものの、相手国又は本邦入国後の14日間の自宅等待機は維持されるスキーム。主に駐在員の派遣・交代等、長期滞在者用。
日本からの入国を認めているヨーロッパの国
現在日本からの入国を認めているヨーロッパの国は下記の通り。これらの国へ入国した際には、基本PCR検査や検疫期間を求められることなく、観光やビジネスをすることができる。
ただし、日本は現在これらを含むすべての欧州の国を新型コロナウイルスに関する感染症危険情報レベル3とし、渡航中止勧告を出しており、欧州からの入国も拒否している。これらの国から日本人が帰国した際も、PCR検査の実施と14日間の自宅などでの待機を求める措置が7月末までの予定で実施されている。8月以降もこの措置が延長されるか否かは、危険情報のレベルによっての判断となる。
ブルガリア |
2020年7月17日、ブルガリアは検疫または検疫期間なし入国できる国リストを更新。これにより、日本からも検疫または検疫期間なしで入国できるようになった。アジアでは日本と韓国、タイからの渡航が認められている。 |
キプロス |
キプロス滞在中に新型コロナウイルスを発症した場合は、病気になった観光客と付き添い人の宿泊費、食事代、飲み物、治療費をキプロス政府が負担してくれる。アジアでは日本と韓国からの渡航が認められている。 |
チェコ共和国 |
当初は、スロバキアとハンガリーのみに自由に国内に立ち入ることを許可していたが、その後、追加で入国制限を解除した。アジアでは日本と韓国、タイからの渡航が認められている。 |
デンマーク |
デンマークは6月27日に国際観光を再開。これにより、EU諸国と日本を含む、一部のEU以外の国からの入国を許可。アジアでは日本と韓国、タイからの渡航が認められている。ただし、いずれの国からの入国者にも、国内観光振興のため宿泊施設へ6泊以上の滞在予約を求めている。 |
エストニア |
現在35カ国からの検疫期間、または検査なしでの入国を認めている。アジアでは日本、韓国、タイからの入国を許可。
欧州のシリコンバレーとも称される、世界屈指のIT先進国エストニアでは、7月1日から外国人向けの「デジタルノマドビザ」を導入。雇用主との雇用関係や事業活動をテレワークで行えるならば、最大1年間の滞在が許可される。 |
フランス |
欧州を訪れている旅行者は、検疫や制限なしにフランスを訪れることができる。アジアからは、日本、韓国、タイからの旅行者の入国を許可。 |
ギリシャ |
入国の際に、ランダムにPCR検査の実施を求められる場合がある。アジアからは、日本、韓国、タイからの旅行者の入国を許可。 |
モンテネグロ |
130の以上の国からの観光客の受け入れと、国際線を再開させているおり、中でもEUを中心とした50カ国からの入国者には検疫もPCR検査も求めない。そのリストに、アジアでは日本、韓国、中国、マレーシア、タイが含まれている。 |
オランダ |
6月15日よりEU加盟国からの入国を再開させ、7月1日からはEU以外の国からの受け入れも拡大させている。リストに掲載されていない国からの入国は認めていない。アジアからは、日本、韓国、タイからの旅行者の入国を許可。 |
北マケドニア |
7月1日より国際観光を再開させており、すべての国からの観光客が入国することができる。 |
ルーマニア |
EU以外からの受け入れも再開させたルーマニア。アジアからは、日本、韓国、タイからの旅行者の入国を許可。 |
セルビア |
すべての国からの観光客が入国することができる。ただし、現在セルビアでは感染者が増えており、旅行制限が導入される可能性がある。 |
スペイン |
6月21日よりEU加盟国に対して国境を開いたスペイン。7月3日からは入国許可の国をさらに追加した。アジアからは、日本、韓国、タイからの入国を許可。 |
スウェーデン |
7月20日から新たに入国を認める国を追加され、アジアからは、日本、韓国、タイからの旅行者の入国が許可されている。
6月中旬以降、シェンゲン圏内、およびそれ以外の国からの入国者に感染者がおり、国内で感染者が増えていることから、予告なく変更される可能性がある。 |
スイス |
3月17日から8月31日までの予定でEUとEEAを除く国からの入国を制限したスウェーデン。7月4日からは新たに入国を認める国を追加した。アジアからは、日本、韓国、タイからの旅行者の入国を許可。 |
ウクライナ |
人口10万人あたりの感染者数により「レッド・ゾーン」国と、「グリーン・ゾーン」国にリスト化。「グリーン・ゾーン」国からの入国者には14日間の検疫やPCR検査も求めない。アジアでは、日本、韓国、中国、香港、マカオ、タイ、台湾がグリーン・ゾーン国。 |
イギリス |
7月10日から英国入国時の自主隔離が免除される国のなかに日本が含まれるようになった。イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドによって免除措置が適用される国は異なるが、日本はいずれの地域への入国の際も自主隔離が免除されている。イングランドは、アジアでは、日本、香港、マカオ、韓国、台湾からの旅行者の入国を許可。 |