マレーシアを訪問した茂木敏充外相は14日、同国のヒシャムディン・フセイン外相と会談し、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために両国が実施している出入国制限の一部を、9月上旬にも緩和することで合意した。駐在員などの長期滞在者が対象で、先にシンガポールと合意した短期出張者向けの往来再開は先送りされた。
日本の外務省の発表によると、両外相は両国間の長期滞在者を念頭に置いた「レジデンストラック」について、9月上旬にも開始することに合意した。レジデンストラックでは、入国後の14日間を自宅などに待機する措置やPCR検査の陰性結果の提出を条件に往来を認める。既にベトナム、タイとの間で7月末から受付を開始しており、先にシンガポールとも9月開始に合意していた。
マレーシア政府は、6月10日から日本を含む外国からの駐在員など長期滞在者の入国を、入国後14日間の政府指定施設での隔離措置、到着時のPCR検査などの条件付で認めている。9月上旬からの規制緩和にも14日間の隔離措置が必要なため、現状からどう変わるのかは明らかになっていない。
一方、シンガポールと先に合意した短期出張者向けで、PCR検査の陰性結果や活動計画書の提出を条件に、入国後14日間も限定的にビジネス活動での外出を認める「ビジネストラック」については、今回合意されなかった。両国で2週間ずつ計4週間の隔離措置中に、条件付とはいえ外出が認められることに対し、現地の日系企業からの合意への期待は高かった。
茂木外相はまた、外相会談で両国が国費で実施する留学生事業に参加する留学生の早期来日を実現すべく調整を進める意向を表明した。
茂木氏は同日、マレーシアのアズミン・アリ貿易産業相とも会談。ポスト・コロナの経済回復に向け、日本企業によるサプライチェーンの多元化を通じてマレーシアを支援していく方針を伝えた。このほか、環太平洋連携協定(TPP)と東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の進捗(しんちょく)状況、マレーシア・シンガポール間の高速鉄道計画、日本の大学によるマレーシア分校の設置、防衛関連分野での協力について意見交換した。
安倍晋三首相は先月、往来規制の緩和に向け、タイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドに続く第2弾の交渉を、マレーシアやシンガポールを含む12カ国と開始することを発表。茂木氏は交渉加速のため、12~15日にシンガポールとマレーシアを訪問した。
20.8.17
出典:NNA