THE LINKS AT SPANISH BAY 1st / POPPY HILS GC 3rd / ASATIEMPO GC 1st
ALL Photos by T.SHIMAZU (APRIL ’99)
さて270室からなるもうひとつのホテルが隣接されたTHE LINKS AT SPANISH BAY(18H 6,820Y P72 C/R74.8 1987年開場)にも触れておこう。
近代ゴルフの発祥がスコットランドであり、全英オープン開催のコースは全てリンクスコースであることはご周知の通りであるが、R.T.JONES JR.とS.TATUM(USPGA)それに全英オープン5回優勝のT.WATSON と3人の合作になるこのコースは、フェスキュー芝を多用するなど、彼らも憧れの、スコットランドリンクス風にアレンジすることにこだわり過ぎた。マッケンジーがサイプレスポイントで 、ジョーンズ・ジュニア がスパイグラスヒルで、この地独特の海と陸の出会いを見事に生かし切っているのに対し、ラウンドもしてみたがシャッターチャンスは少なかった。バーディーチャンスは結構あったのだが…。
日本国内にも内陸にフェスキュー芝や無数のマウンドを持ち込んで無理矢理リンクスの雰囲気を模倣するデザインも散在するが、リンクスはリンクスにあってリンクスとして後世に残り続けるものであり、その土地の自然環境、即ち空や海や樹木の色・香り、人を含む生態系、そしてその醸し出す雰囲気、歴史的必然を繊細なる感性で嗅取って活かし切ることこそ設計の基本の妙味。井上誠一氏や上田治氏の作品が経年すればする程味が出てくるのは、そういう意味で「木」で出来た家に棲み、自然との共生を大切にしてきた民族、日本人の感性の結果なのかもしれない。
同じジュニアの作品ならボクはむしろPOPPY HILLS GC(18H 6,850Y P72 C/R75.2 1986年開場)が好きだ。モントレーパインの高い樹木がコース全体を覆い、絶妙な形にアレンジされたバンカーとフェアウェイの自然なアレジュレーションが球趣を彩っている。
ホテルから30分とちょっと離れるがRANCHO CANADA GC(EAST 18H 6,109Y P71 WEST 18H 6,349Y P71 1970年開場)も楽しい。樹齢数百年を数える杉の大木でセパレートされた東・西36ホールズは、1ラウンド50~60$でOK、ペブルビーチ周辺のコースが200~350$(1.0Rカートフィー含む)に比べて格別に安い。
マッケンジーの名作CYPRESS POINT CLUB(18H 6,536Y P72)は残念ながら、全米に散らばる270人のメンバーのための完全同伴コースで(年間入場者数は2~3,000人とか)、日本人にはオーガスタよりもっと門戸は狭い。同じマッケンジーなら車で50分のPASATI EMPO GC(18H 6,483Y P71 1929年開場)ならプレイ可能だ。無数のヨットが浮かぶサンタクララ湾を見下す美しいスターティングホールが見事だ。
落ち着いた佇まいの瀟洒な芸術の街、カーメルも楽しい。アンティークや、和食のお店もあって一度は訪れてみたい。
「MORE GOLF!」
モントレー空港まで乗った地元の女性タクシードライバーが、別れ際にそう言って優しく微笑んだ。