マレーシアゴルフ1(大都市デラックス型/ロイヤルセランゴールGC)

英国商人アーサー・グルームが神戸・六甲山頂にゴルフ場を建設して今年で百年(神戸ゴルフ倶楽部:1901年開場)。

日本各地で百周年を祝うゴルフイベントが開催されているが、何とマレーシアのゴルフの歴史は神戸をさかのぼる事8年前の1893年、首都クアラルンプールのロイヤルセランゴールGCで産声をあげた(お隣タイのロイヤルホアヒンGC“1924年誕生”より古い)。

現在では見渡す限り高層ビル・ペトロナスツインタワー(452メートル)や一流ブランド店が軒を並べるKLCC(クアラルンプール・シティ・センター)よりわずか5分、時が止まったかのように105年もの間変わらぬ姿で佇んでいる。

市をぐるりと囲む環状路タンラザック道りに面した外門を抜け、森の中へと続く一本道を進むと、ツタの葉に覆われた堂々たるクラブハウスが現れる。駐車場には高級外車がずらりと並び、入り口には2人のガードマンが待機、このコースの風格が自然と伝わってくる。一歩中に入ると、いたる所に記念カップやナショナルオープン優勝ボードが置かれ、レストランの壁に掛けられた20畳はあろうかと思われる木彫りのクラブ選手権優勝ボードは圧巻! さしずめマレーシアゴルフ博物館といったところ。

コースはオールドコース18ホール、ニューコース18ホール、スレーメンコース(ショートコース)9ホールのフラットな林間コースで、1プレイヤー・1キャディもしくは手引きカートによるセルフプレイである。フェアーウェイ、グリーンとも日本ではお目に掛かる事の無いカウグラス(日本名・牛草/1980年後半までコースではとてもポヒュラーな芝)が敷き詰められ、池やクリークなどのハザードは無いが、バンカーと大きくせり出した枝、それにほとんどのホールが左右にドッグレッグしている為ティーショットから緊張の連続だ。オープン当初(19世紀後半)の頃はヒッコリーシャフトにパーシモンヘッドの組合せで今とは比較にならないほど、粗末なクラブでこのコースに挑んでいたはず。現代のチタンヘッドにカーボンシャフトのゴルフがこのコースでは通用しない。300ヤードのビッグドライブよりも木々の間を通す正確なショットが何よりも要求されるのである。日々新しい技術により進化をつげるボールやクラブ、それに負けじと戦略に工夫を凝らして作られる最近のコース。しかし、常にその時代の新しいものを跳ね返す力を持つロイヤルセランゴールGCには百年、二百年先も科学では越えられない何かがあると思う。

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